2010年3月18日木曜日

医薬品メーカーの裏の顔

医薬品メーカーのやり方には、ほとほとうんざりさせられることが多い
何も知らない人は、「薬を作って病気の人を救っているいい会社だ」と思っていることだろう
もちろんそれは事実だ
正当な手段での儲けは奨励されるべきだし、再投資によってさらなる社会貢献が可能
だが、中には納得できない手段も含まれている
薬局薬剤師から見た、医薬品メーカーの裏の顔を紹介しよう




1.特許切れ前に、剤形を変えて発売し直す

直近のいい例が、大日本住友製薬のアムロジンだろう

アムロジン錠の特許が切れると、いわゆるジェネリック医薬品が発売され
医師との相談なしで、薬局での変更が可能になる
もちろんそれではメーカーは困る

どうするかと言うと、特許が切れる前にアムロジンOD錠を新発売する
(ODとは口中溶解の意味だ)
キャッチコピーは「ごっくんフリー」
全国の医師に激しい営業をかけ、OD錠に切り替えてもらう
すると、OD錠の特許は切れていないので、ジェネリックへの変更は不可能になる
かくして、メーカーのシェアは守られる

成分はまったく同じなのに、口中で溶けるか溶けないかだけの差で
患者のジェネリックに変更する権利は奪われる
ジェネリックの是非はさておき、選択肢がなくなることが問題なのだ
だいたい高血圧の薬が、口中溶解錠である必要はまったくない


なお、4月の法改正で
上記の特許防衛策は不可能になる可能性が高い
今後は、OD錠、普通錠の区別なく変更が可能になるかも
珍しくいい改正だと思う



2.不要な複数規格を販売

上記に対して、第一三共のクラビットはうまくやった
「クラビット錠100mgを1日3回飲むよりも、クラビット錠500mgを1日1回の方がいい」
という研究結果から、クラビット錠500mgを新発売
かくして特許は、ごく自然に守られた

ただ、困ったことにクラビット錠250mgも発売した
用法には1回250mgの記載はないので、500mgを1錠飲むか、250mgを2錠飲むかだ
どう考えても250mg錠は不要と思うが、ここにメーカーのずる賢さが見える

処方箋に”クラビット錠250mg”と記載されていれば
薬局としては手持ちの500mg錠は使えず、250mg錠を新たに買う必要がある
(病院に電話して、変更OKをもらえば回避できる)

複数規格販売することにより、両方売れて儲かる
それが本当に必要かどうかは問題ではないらしい

ちなみに武田薬品のブロプレス錠は
2mg、4mg、8mg、12mgと4つの規格が存在する
複数飲むか、割ればいいはずだ



これも同じく4月の改正で
規格違いは複数飲むという方法で解決できるようになるかもしれない
ただし、ジェネリック医薬品に限る




3.作るべき商品を作らない

グラクソスミスクラインのジルテックドライシロップ
用法は
1回0.2gを1日2回 もしくは 1回0.4gを1日2回

つまり、1包0.2gのヒート品(個別包装)と1包0.4gのヒート品
この二つを発売すれば事足りる

だが実際に販売されているのは以下の二つ
1包0.4gヒート×100包
バラ100g×1瓶

なぜ1包0.2gヒートを販売しないのか?
答えは、単価が高く、回転率の悪いバラを買わせるため
患者や薬局の利便性を無視し、儲けに走っていることは明らかだ



4.不要な配合剤を販売

ファイザー製薬が最近新発売した、カデュエット配合錠
4つの規格があり、内容は以下の通り

1番:アムロジピン2.5mg、アトルバスタチン5mg
2番:アムロジピン2.5mg、アトルバスタチン10mg
3番:アムロジピン5mg、アトルバスタチン5mg
4番:アムロジピン5mg、アトルバスタチン10mg

ここまでくるともう笑ってしまう
アムロジンとリピトールを別々に飲めばいいじゃないか
わざわざ配合錠にする必要はまったくない

アムロジンの2.5mgと5mg
リピトールの5mgと10mg
それに加えて上記1~4番を在庫しろと言うのだろうか?
冗談ではない






医薬品の粗利益率は非常に高い
売価に占める、製造原価など微々たるもの
薬九層倍と言われる所以である

それだけ強い経営体質を持ちながら
卸や薬局に必要以上在庫させることによって儲けを上げている
もちろん通常の売上がメインであろうが、不当な手段でプラスαしているのも事実
社会貢献度が高い業種だけに、そういった面が逆に目立つのだ




まず特許期間中に投下資金を回収する努力をする
投下資金を回収し終え、十分な余剰キャッシュフローがあれば
不当な特許防衛策を講じる必要もないはず

むしろ十分なキャッシュを得ることができた後、特許が切れたら
患者さんのために、薬の値段を下げるべきだ
(もちろん薬の値段は公的に決まっているので、ジェネリックという方法で)

それが医薬品メーカーの果たすべきCSRではないだろうか?