2012年7月18日水曜日

消費税逆ざや問題の真の解決策

消費税逆ざや問題に薬価上げは効果なしの続き。

鋭い方は既にお気付きかもしれません。
前回計算の途中で、税込みのはずの薬価にさらに消費税がかかっています。((1+y)が二乗になっていますよね。)

実はそもそもこれがおかしい。
なぜ税込みであるはずの薬価に、さらに税率をかけるのか。


流通段階では薬価 x で計算し、最終消費者つまり患者に渡るときに税込み薬価 (1+y)x で計算するのが正解のはず。

つまり計算すると以下の通り。



税抜き薬価をx、税率をyとします

値引率を13%とすると、仕入値は 0.87x

ここに消費税がかかります
税込み仕入値は 0.87x(1+y) ですね

そして、患者に渡るときの薬価は税込み薬価 (1+y)x です
こちらの方が大きいと期待して不等式をつくります

0.87x(1+y) < (1+y)x

0.87 < 1

よって真。
仕入値よりも、必ず売値が上回ることになります。



xとかyとかが苦手な人のために、もう一度数字でいきます。
話をわかりやすくするために値引率は20%、消費税率を10%とします。

税抜き薬価100の医薬品、税込み薬価は当然110。
この薬を20%引きで仕入れるので
100×0.2 = 80

消費税がかかるので
80×(1+0.1) = 88

この薬を患者に110で売るので、薬価差益は
(110-88) / 110 = 0.2 = 20% ←値引率と同じ

これが本来あるべき姿です。



薬局は卸に、卸は製薬会社に以下の通り要求すべし。

「仕入値の計算に用いる薬価は税抜き薬価であるべきなので、税込み薬価である公定薬価を(1+消費税率)で除した値段を用いること。その値段に仕切率をかけ、しかる後に消費税をかけるべし。」

現実的には値引きを要求することになりそうですが。


関連記事:薬価の消費税上乗せ分を明細書に表示することによる棚ぼた効果