2013年2月8日金曜日

30gの軟膏壷に入っている軟膏は30gではない?



当たり前の話ですが、意外と知られていない話?

先に答えを書いてしまうと、質量と体積の違いです。


「そりゃそうだろ」と思った方はここで終了。

「え?どういうこと?」と思った方のみ、引き続き読んでください。



皮膚疾患で軟膏が30g処方されると、30gの軟膏壷にたっぷり詰めてくれますよね。コレ、実は30gとは限りません。

小学校か中学校か忘れましたが、とにかく学校で習った通りです。

30gは質量、つまり重さを表すのでこれは不変。鉄だろうが綿だろうが30gは30gです。だから処方も質量を単位としています。

対して体積、つまり大きさですが、30gの綿と30gの鉄では、綿の方がかさ高く鉄は小さい。モノによって同じ重さでも大きさが全く違います。


ある軟膏30gを調剤するなら、壷を電子天秤に乗せて0点調整し、重さが30gになるまで詰めていくというのが本来正しいのですが、おそらくほとんどの薬局では「30gの軟膏壷に満タンに詰める」という簡易式を取っていると思います。


実は”30gの軟膏壷”というのがそもそもの間違い。

30ccの軟膏壷”が正解ですね。

(注:軟膏壷の設計による。例えばこちらの会社は容量3割増し。)


容器が同じであれば、詰めるモノによって重さが変わるのは当然。比重の大きい軟膏であれば30gを上回りますし、比重の小さい軟膏であれば30gを下回ります。




問題は、比重の大きい軟膏をどう詰めるかです。正しく30g計って詰めると、明らかに満タン入っていません。かといって満タンに詰めると薬局が損をしていまいます。

これはその薬局の管理薬剤師の判断によりますが、私はどっちでもいーじゃんと思っています^^;

きちんと測るのが正しいですが、患者から「少ないじゃないか!」というクレームがくる可能性あり。「いえ、これで合ってます」と毅然と追い返せばいいんですが。

満タンに詰めると薬局は損をしますが、せいぜい十数%増し。壷に詰める軟膏で薬価の高いモノなんてありませんし、クレームを避ける手段としては安上がりとも言えます。



なお、その軟膏が重いか軽いかのざっくりとした判断ですが

油は水より軽い → 油分が多い軟膏ほど軽い

水成分が多くなるほど重くなる

有形成分が多くなるほどさらに重くなる

というイメージで。

軽い軟膏の代表が白色ワセリン。
重い軟膏の代表が亜鉛華軟膏です。