2013年4月3日水曜日

薬局における医薬品のロスについて知っておくべき2つのこと

薬の紛失、汚損、変色、経過措置期間切れ、使用期限切れ、散薬や水剤の調剤誤差、棚卸差異などなど。いわゆる”ロス”ですが、これについて薬剤師というか会社員として知っておくべきことが2つあります。

1.医薬品のロスは丸損ではない


2.ロスノートなんて必要ない



まず1。

感覚的には医薬品のロスは、会社の丸損になるように思えます。買った商品が販売できなくなるわけですから。

しかし実際には、”棚卸資産の評価損”として費用計上することができるのです。要するに”節税”に役立ちます。

簿記の知識がある人には常識ですが、一応ソースを。

国税庁 基本通達・法人税法
第9章 その他の損金 第2款 棚卸資産の評価損
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_01_02.htm

破損、型崩れ、たなざらし、品質変化等により通常の方法によって販売することができないようになったこと

薬局での医薬品のロスもこれに該当します。つまり、100円で買った商品が0円になる際に、「100円損をした」として当期の利益から差し引くことができます。利益が減る=支払う税金が減る、ですね。


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次に2。

「ならばすべてのロスを正確に把握せねば!」と意気込む必要はありません。年に一回の棚卸で、あらゆるロスが”棚卸差異”に収束するので自動的に計上されることになります。

例えば、毎月100円分の在庫がロスになっていくとすると、1年後には累計ロスが1200円分になります。この「毎月100円」という数字が不明でも、棚卸をすることにより帳簿上の在庫金額と実際に数えた棚卸金額との差として1200円が確定するので、問題なく評価損を計上できます。

ゆえにロスが発生するたびにロスノートを書くというスタイルはオススメしません。ノートを書く時間、それを在庫管理システムに入力する時間を無駄に使うことになるからです。

もちろん、安易なロスや盗難を防ぐという目的を持たせるならアリ。

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