2013年7月26日金曜日

労災保険指定薬局の指定を受ける意味ってあるの?

労働災害、いわゆる労災。業務中の事故による怪我は健康保険ではなく、この労災保険の対象になります。労働災害に遭った労働者はすぐに労災の申請をあげるわけですが、当然ながら申請がおりるよりも医療機関への受診が先になります。その際の支払いはどうするのか?

薬局について言えば、患者に請求するか労働局に請求するかの二択で、”労災保険指定薬局”の指定を受けているかどうかによって分かれます。

Wikipedia 労働災害
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%B4%E5%83%8D%E7%81%BD%E5%AE%B3

保険薬局業務指針〈2012年版〉
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【労災保険の指定を受けていない場合】

薬局での労災請求はできません。患者が直接労働局に請求することになります。

保険なしの自費調剤と同様の処理で負担割合は10割、全額を患者に請求して領収書を交付。合わせて”療養の費用請求書”の”薬剤師の証明”欄に必要事項を記入して患者に交付。

用紙は患者持参のものに記入するか、所轄の労働局より取り寄せるか、以下よりダウンロードできます。(業務災害なら様式第7号の(2)、通勤災害なら様式第16号の5(2)です。)

厚生労働省 労災保険給付関係請求書等ダウンロード
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken06/



【労災保険の指定を受けている場合】

患者には請求せず、薬局が労働局へ請求します。
煩雑なので詳細は割愛。詳しくは所轄の労働局まで問い合わせてください。

関連記事:労災保険指定薬局が労災の調剤報酬を請求するやり方



当然ながらシンプルなのは前者です。後者はわざわざ指定を受けているにも関わらず業務量としては増加する上、取りっぱぐれる可能性も。

制度を理解して請求に必要な情報や書類をきちんと提供してくれる患者ばかりじゃないし、そもそも個人の属性にシステムの正否を依存すること自体がおかしいわけで。

さらに言えば、交通事故などで民間の保険会社に請求する際には”文書料”という名目で手数料を取るのが慣習になっていますが、労災に関してはそうしたものは認められません。


結果、現状あえて指定を受けず、患者が直接請求するのを手伝ってあげる方がラクというヘンな制度になっております。そしてオンライン請求に乗せることもできず、旧来型の紙郵送による請求になります。

業務フローを改善するとか、必要書類をすべてオンライン上でダウンロードできるようにするとか、そういうのはもういいから早くオンライン請求に対応してほしいものです。


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