2013年10月14日月曜日

薬価の消費税上乗せ分を明細書に表示することによる棚ぼた効果

日経DI 調剤基本料に消費税引き上げ分を上乗せ
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/di/trend/201309/532629.html

消費税の税率UPに合わせて調剤基本料を上げるそうですが、今回はそちらではなく副題の方に注目。

薬価は消費税の上乗せを明細書や薬情に記載


ですって。これによってひょっとしたら解決に向かう問題があるかも?


以下、記事より抜粋。

また、薬価に消費税分が上乗せされていることが分かるように、明細書や薬剤情報提供文書に表示することも決定した。

消費税逆ざや問題の真の解決策で書いたように、現状は流通過程で消費税の二重課税が起こっています。

簡単に言うと、税込みのはずの薬価に仕切率をかけ、その後に再び税率をかけているせいで税率が上がると利益を圧迫、どこかで逆転していわゆる逆ざやになります。計算を知りたい方は以下記事参照。xとかyとかやってます。

関連記事:消費税逆ざや問題に薬価上げは効果なし


さすがに二重課税に誰も気付いていないとは思えないのですが、一度走り出してしまった以上、なかなか今さら変更できないんでしょう。

解決策としては当然ながら、税抜き薬価に仕切率をかけ、その後に税率をかければOK。薬局で調剤する際にはもちろん税込み薬価で請求するので、逆ざやにはなり得ません。(仕入税額控除については改めて書きます。)


明細書に表示するために、”税抜き薬価”と”税込み薬価”が意識され始めると、「そういえば流通時点での計算方法がおかしいんじゃないか?」という話が出ないかなと期待しています。


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ただ、気になることが一点。日経DIから再び抜粋。

薬価については、現在も市場実勢価格に消費税を上乗せしている。そのため、8%の引き上げ時も同様に「改定後価格=販売価格の加重平均値(消費税抜きの市場実勢価格×108%)+(現行価格×調整幅)」で計算する。調整幅とは、流通コストの違いをカバーし、納入価が薬価を上回る「逆ザヤ」を防ぐためのもので、2012年4月の薬価改定時には調整幅2%で改定が行われた。

どうやら逆ざや問題を解決するために誤ったやり方をしてしまっているようです。簡単に言うと税抜きの価格に税率をかけた後2%のプラス補正を入れた合計を薬価としているようですが、その合計薬価にさらに税率をかけるわけなのでプラス補正にも税率がかかってしまいます。意味なくもないですが、なぜわざわざ複雑で間違ったやり方をしているのか…。

一度ゼロベースで”税抜き薬価”と”税込み薬価”を設定してはどうでしょ?


関連記事:医薬品の流通過程での消費税のかけ方がオカシイ件