2013年10月25日金曜日

薬剤師にとっての独立開業について

男なら一度は夢見る、独立。

会計士や社会保険労務士などの士業と同じく、資格を生かして独立開業はもちろん薬剤師でも可能です。地理的に縛られ、集客力を医師に依存しているのが他の士業と比べて苦しいところではありますが、ひとたび回り出せば安定して経営でき、よほどのことがない限り潰れません。

薬剤師にとって、独立を考える流れは以下の通り。

関連記事:それでも薬局はつぶれる


雇われなら、一兵卒or社長代行


他の士業でも同じかと思いますが、基本的には一兵卒として安い給料でずっと働くか、さもなくばマネジャーないし社長代行するかの二択。組織が大きくなるといろいろ役職ができますが、本質的にはこのどちらかです。

女性薬剤師の多くは前者を、男性薬剤師の多くは後者を選択するでしょう。


成果主義導入が困難なため昇給は頭打ち


薬局薬剤師は、基本的に”待ち”の仕事です。仕事の出来不出来で利益が大きく変わったりはしません。もちろん発生する仕事の配分に仕事の出来不出来による格差はありますが、それによって給与格差をつけるのは現実的ではありません。管理している店舗ないしエリアの利益に応じてボーナスがもらえるわけでもありません。

ゆえに、薬局薬剤師にとって成果主義の導入は困難ですし、結果的に”昇給”も不可能です。一応世間のイメージを守るためか、若い薬剤師の給与を低く据え置くためか、年功賃金を形だけでも導入している会社がほとんどのようですが、欺瞞です。単に今払う分を後に回しているだけです。

関連記事:薬局薬剤師に給与格差ができる理由とそれを利用した昇給方法


「じゃあ独立だ!」若くて優秀で向上心がある薬剤師であれば当然そう考えますが、ひとつ問題があります。それは


独立には医師が必要


薬局は診療所ないし病院からの院外処方を応需してこそ成り立つ業態なので、この処方せん発行元たる診療所ないし病院を確保する必要があります。

選択肢は3つ。

1.既存の横取り
2.院内処方→院外処方
3.新規開業

1はレッドオーシャンです。ちょっと横取りするだけで損益分岐点を超える規模なら大手がひしめくドル箱地域でしょう。
2が一般的な開業イメージですね。未だに院内処方な診療所を探し、絨毯爆撃的に営業をかけることになります。問題は、儲かるところはほとんど取り尽されているということ。
3はコネ必須。数字もないので事業計画が立てれず高リスク。


独立したくてもできない薬剤師のほとんどは、これが原因です。ここがボトルネックになります。逆に、その他の問題(開業資金、人材、知識・準備不足などなど)はこれに比べれば何とでもなります。


薬剤師プロ


「では駅前などの好立地に出店し、面で受ければ」

点分業と面分業の比較で書いた通り、様々な処方がきて不良在庫で溢れ、高い家賃に苦しみ、続く赤字で眠れない日々を過ごすことになるでしょう。面分業は個人が一店舗で戦うには苦し過ぎます。

「OTCなどで利益をかさ上げすれば」

OTCは大手ドラッグストアの独壇場です。個人が一店舗で仕入れても確実に価格で負けます。ドラッグストアが出店していない地域だとそもそも利益が出るほど売れないでしょうし。

「じゃあどうすればいいの?」

点分業できる医師をなんとかしてゲットしてください。ただし、収支計算して赤字になるようなら論外、雇われで働くより遥かに多くの利益を見込めない限りは、雇われでいた方が間違いなく良いですよ。


関連記事:薬剤師の雇われと独立の比較