2014年1月10日金曜日

薬局における社内人材による勉強会は無駄、外注しよう


メーカーが主催する勉強会のことを弁当会と揶揄する向きもあるようですが、みなさんの薬局では勉強会やってますか?みやびです。

メーカー主催の勉強会は新薬のプロモーションや接待を兼ねてのものになりますので予算が確保しやすく、勉強したい(&弁当食べたい)という薬局との利害が一致したwin-winの関係にあります。

対して一部の意識が高い会社では、社内人材による勉強会を主催していることもあるようです。これってどうなんでしょ?私は不要だと思っています。例によって3STEPにて。


1.調査や資料作りに投下した労力が本業に生きない


例えば、「高血圧治療薬の分類と使い分け」などの題で発表するには、持ち前の知識だけではなく当然いろいろ調査する必要があります。もちろんどの程度のレベルが求められているか?にもよりますので、添付文書をまとめDIにちょっと問い合わせて完成というケースもあれば、PubMedを使って英語の論文を検索するケースもあるでしょう。

そして調べたことを読み上げるだけというわけにもいきませんので、スライドやレジュメを作成する必要もあり、合わせるとけっこうな時間を要します。

これらの労力を投下することが必ずしも無駄になるというわけではありませんが、少なくとも日々の仕事でこうしたことが生きるシーンはまずありません。


2.専門家に対するプレゼン能力を高める必要がない


「受容体サブタイプが〜」とか「CYP3A4が〜」とか専門用語をふんだんに使って発表できる(というかその方がそれらしく見える)薬剤師に向けたプレゼン。フィードバックを受けつつ何度も繰り返せばどんどん上手くなっていくことでしょう。

しかし日々の仕事はどうでしょう?「これは、血をサラサラにする薬ですよおばーちゃん」とか「この薬とこの薬はケンカするので一緒に飲まないようにしてねおじーちゃん」とか、こんな言い方をしているはずです。

理解力があり予備知識も豊富な同業者へのプレゼンをいくら練習したところで、理解力に乏しく予備知識もほとんどない患者への服薬指導は上達しません。少なくとも本業に対してはロールプレイ研修の方が効果的。


3.そもそも勉強会の目的は何?


「勉強が不要」と言っているわけではありません。もちろん大事です。ただ、講師を自前で調達する必要が必ずしもあるのか?というと疑問です。

新卒含む若手薬剤師へのリクルートを考えて、「社内勉強会を定期的に開催、教育体制はバッチリ、先輩たちも優秀」というアピールは有効かもしれませんが、そうは考えていないなら単に目的を見失っている可能性が高いのでは。

勉強会の目的が自分たちの勉強であるなら、講師の外注はアリでしょう。そうして、受け手としてその情報を吟味する能力や、的確な質問をして回答を引き出す能力、そしてそれを患者への服薬指導や薬学管理に生かす能力を育てる方が有意義ではないでしょうか?

私はそう思います。

限られたリソース(時間)を本当に大事な事柄(イシュー)に集中しよう!

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ちなみに私が勤務先を選ぶときは「社内勉強会を定期的に行っていないこと」を条件に入れています。常に受講する側でいられるならまだしも、講師側に立つとリソースを浪費してしまうからです。地理的にも時間的にも限定され、そのとき出席した人にしか恩恵のないリアル勉強会は大嫌いです。

もしやるなら勉強会などというその場だけの非効率な伝え方ではなく、ブログやYouTubeがいいと思います。プレゼン能力と顔と声に自信のある方、是非YouTubeでデビューしてみてください。

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