2014年3月26日水曜日

「漢方薬に副作用は無い」なんて思っていたら大間違い


「漢方薬だし、副作用なんてないよね」

そう思っている人は多いですが、これ大きな間違いです。一般人ならまだしも、薬剤師として知っておきたい漢方薬による副作用を、メジャーどころから3つ挙げます。


1.偽アルドステロン症


おそらく最も有名ではないでしょうか?副腎ホルモンであるアルドステロンが過剰であるかのような症状を示すことから”偽”アルドステロン症と呼ばれています。

Naの再吸収とKの排泄を促進、つまり塩分と水分の体内貯留を引き起こし、高血圧、むくみ、体のだるさ、手足のしびれなどが現れます。

原因は甘草(カンゾウ)に含まれているグリチルリチン。1日の上限値はグリチルリチンとして300mg(甘草として7.5g)。

例えば芍薬甘草湯は1日量で甘草が6g含まれているので、ここに他の甘草を含む漢方がプラスされるとすぐにオーバーです。また、甘草の感受性は個人差もあり注意が必要です。

ツムラ芍薬甘草湯エキス顆粒 添付文書pdf


2.間質性肺炎


おそらく小柴胡湯とインターフェロン製剤との併用による発症が最も有名でしょうか?もちろんインターフェロン製剤との併用は禁忌になっていますが、単独での発症もあるようで警告欄にて注意喚起されています。

ツムラ小柴胡湯エキス顆粒 添付文書pdf

初期症状は発熱、乾性咳嗽、呼吸困難、肺音の異常(捻髪音)等で、すぐに服用中止せねばなりません。致死率が高いケースもあり注意が必要です。

原因成分ははっきりしませんが、黄芩(オウゴン)ではないか?との説があるようです。小柴胡湯以外の漢方薬でも間質性肺炎の発症例が数例あったようで確認したところ、すべての品目が黄芩(オウゴン)を含んでいますね。

株式会社ツムラ 安全性情報 漢方製剤の間質性肺炎について


3.腸間膜静脈硬化症


どこがメジャーどころやねん!というツッコミがきそうですが、いつだったか日経DIのDIクイズに取り上げられていたのでご紹介。

山梔子(サンシシ)を原因とし、これに含まれるゲニポシドがβ-グルコシダーゼにより分解されて糖がはずれてゲニピンとなり、これが腸から吸収、静脈の血管壁を障害、上腸間膜静脈肥厚、繊維化、石灰化を起こすと言われてます。

山梔子(サンシシ)を含む漢方薬の例を挙げます。

ツムラ黄連解毒湯エキス顆粒 添付文書pdf

ツムラ加味逍遙散エキス顆粒 添付文書pdf

ツムラ防風通聖散エキス顆粒 添付文書pdf


疫学調査によると発症者のほとんどが日本人のようで、ひょっとしたら日本人独特の腸内細菌が関与してたりするのかな?海苔を分解できるのは日本人だけ、みたいな?

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また、麻黄(マオウ)を含む漢方薬は高血圧患者には注意が必要だし、下痢傾向のある人に大黄(ダイオウ)を含む漢方薬も同じくです。

漢方薬だからとナメないようにしたいですね。


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