2014年9月5日金曜日

クレナフィン爪外用液10%、2014年の9月2日に発売


爪白癬(爪水虫)に対する画期的な新薬が先日発売されました。その名もクレナフィン爪外用液10%。アゾール系抗真菌薬で一般名はエフィナコナゾール。

クレナフィン爪外用液10% 添付文書pdf

発売日は2014年9月2日。今週の火曜日でしたね。

これについて知っておくべき内容を簡単にまとめました。


1.爪白癬(爪水虫)に対する初の保険適用


意外と知られていない事実ですが、既存の抗真菌薬の外用液は爪白癬への保険適用はありません。以下でご確認ください。

ラミシール外用液1% 添付文書pdf
ルリコンクリーム/液/軟膏1% 添付文書pdf
ゼフナートクリーム/外用液2% 添付文書pdf

爪表面や際の真菌は殺せていても、深部にはほとんど到達していないからです。ゆえに爪白癬の人はラミシール錠なりイトリゾールカプセルなりを内服せざるを得なかったのが今まで。

クレナフィン爪外用液は、爪白癬の適用を取得した初の外用薬です。というのが当医薬品の触れ込みですね。

in vitroでの試験ですが、ケラチン(爪の成分)への吸着が他の抗真菌薬よりも低く、遊離は多いみたいです。


関連記事:保険適用と保険適応、どっちが正しい?


2.使い方は?



写真のように、先端がハケになっています。マニキュアの要領で1日1回爪に塗る。爪と皮膚の境界部にもしっかりと。刺激が強いので皮膚部分についたら拭きとってください。

水虫薬のイメージとして「入浴後に塗る」というのがありますが、クレナフィンに関しては爪乾燥時の方がいいようです。別に比較試験を行ったわけではないようですが、臨床試験では入浴後10分以上経過の条件なので。

てわけで就寝前かな?枕元に置いておくといいと思います。


3.1年継続使用すべし


同じく臨床試験では48週使用し、4週休薬して52週目で検査を行って有効性を確かめています。また、爪がすべて生え変わるまで必要な期間は、手で半年〜1年、足で1年〜1年半です。

てわけで使うなら1年は必ず継続使用してください。爪内にいる真菌を地道に殺しながら、新しく生えてきた爪への感染を抑えつつ、すべて生え変わるのを待つ、という感じです。「あんなに汚かった爪が塗ったそばから綺麗に!」なんてことは起こりません。


4.有効性のほどは?


完全治癒率にして17.8%、真菌学的治癒率にして55.2%です。(n=656)

後者は「顕微鏡で見て、培養もして、真菌が確認できない」という状態。前者はそれプラス「見た目」です。鏡検だけでは見逃すこともあるとかないとか。これを低いと見るか高いと見るか。

なお、イトリゾールをパルスで12週投与し24週目の完全治癒率は5.8%、真菌学的治癒率は63.5%で(n=52)、ラミシールを24週投与後の真菌学的治癒率は62.1%(n=66)です。

期間や重症度、サンプルサイズなど条件が違いすぎるので一概には比較できませんが、ちとあんまりな印象?


5.高薬価である


薬価は1,657.5円/g、つまり1本(3.56g)5,900.7円です。

なぜこんなに高いのかというと、イトリゾールカプセルが参照点なんですね。まぁ仕方ないのかな。


6.どれくらいもつの?


爪の大きさにもよりますが、だいたい爪1本に2週間使って0.7mLくらい。つまり爪5本(片手or片足)で1本(4mL)2週間もちますね。

両足なら2週間で2本。52週の継続使用で52本。3割負担の場合、薬剤費だけで総額9万円を超えますね。うわー


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以上です。

併用禁忌が多いイトリゾールが飲めない人にはいいのかな?でもそれならラミシール飲むなぁ…ラミシールで肝障害が出た人とか?


特許は科研製薬が持っているようで、これヒットしたら株価上がるかな?と一瞬思いましたが、科研製薬の売上は800億クラス。対する爪水虫の2007年度時点での市場規模は10万人で35億円(某社調べ)。

どれだけシェアを取れるのかわかりませんが、少なくとも株価に影響するほどのインパクトはなさそうですね(^^;


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